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自家歯牙移植について
こんにちは、吹田市南千里駅が最寄りのいいだ歯科・矯正歯科です。
みなさんは、残念ながら抜歯になってしまった場合、そこに変わりの歯を補う方法として何があるかご存じでしょうか?
基本的には、以下の3つの方法が提案されることが多いかと思います。
「ブリッジ」:両隣の歯にかぶせ物をして橋渡しをする方法
「入れ歯」:義歯ともいわれ、着脱式の装置で歯を補う方法
「インプラント」:人工の歯根をあごの骨に埋入する方法
それぞれに、メリット・デメリットがあり、一概にどれが一番いいというものはないので、
患者様の希望やお口の状態を考慮して、最終的にどれで治療していくかを決定していきます。
しかし、あまり説明されてこないその他の補綴方法として、抜歯した後の歯を補う治療が存在します。
それが「自家歯牙移植」と言われる方法です。
みなさんは「移植」と聞くとどのようなイメージがありますか?
医科で行うような臓器移植や角膜移植などを思い浮かべる方がほとんどかと思います。
実は歯科でも「移植」という処置を行うことがあり、それが「自家歯牙移植」なのです。
移植とはそもそもどういうことを指すのでしょうか?
医学的に移植というのは、健康な組織または器官を切りとって、その人の他の部位、または他人に移し植え込むことを言います。
「ドナー」といわれる提供側と、「レシピエント」と言われる受給側が存在します。
例えば、腎臓移植であれば、他人(ドナー)の健康な腎臓(1個)を、患者側(レシピエント)へ移し取り替えて機能回復をはかります。
歯科で行われる移植は基本的に自家移植であり、他人に移し替えるのではなく、自分自身の器官を他の部位に移し替える処置になります。
ですので、いわゆる拒絶反応の心配はありません。
歯科ではご自身の口腔内にある不要で健康な歯(主に親知らず)をドナーとし、欠損した部位(レシピエント)へ移し替えます。
欠損した部位に、再び自分自身の歯が入るというのは、ほかの補綴方法と比較しても大きなメリットになります。
ただし、自家歯牙移植にももちろんデメリットが存在します。
<メリット>
・歯への刺激を伝える歯根膜を有するため、噛みごたえを感じられる
・親知らずを移植する場合、保険適用となるので比較的安価ですむ
(それ以外の歯を移植する場合は保険適用外だが、インプラントよりは価格が安くなることが多い)
・ブリッジのように欠損している両隣の歯を削ることがない
・入れ歯のような異物感が少ない
・インプラントと異なり、移植した歯を矯正治療で動かすことができる
<デメリット>
・ドナー側の歯の状態がよくないと予後が悪い場合がある
・レシピエント側の骨の幅が必要
・うまく生着しないことがある(特に歯根膜の細胞が減少している高齢者は成功率が下がる可能性がある)
・歯周病などの条件によって予後が左右されやすい
・手技が困難
特に、自家歯牙移植をするうえで最も重要なのが、ドナー側の歯の根っこの形態が複雑でないこと、レシピエント側の移植する側のあごの骨が十分にあること、です。
逆にいうとこれらの条件がそろっていれば、十分に治療の第一選択となりうる方法です!
インプラントやブリッジの治療をする前に、ぜひ一度自家歯牙移植を考えてみてはいかがでしょうか?