WEB予約

  • 〒565-0836 大阪府吹田市佐井寺4丁目43-7

ブログ

Blog

いいだ歯科・矯正歯科|吹田市佐井寺の歯医者

レントゲン撮影による影響って?

「レントゲン撮影はなるべくしたくないです」
ときどき患者様からこういったお声をいただきます。

たしかに2011年3月11日の東日本大震災で起きた福島県原発事故以降、
世間でも放射線についての関心が非常に高まりましたね。

放射線についてほとんど詳しくない方でも、“放射線=有害”というイメージくらいはあるかと思います。

もちろんこれは間違いではありませんし、そういったイメージは常に持っていた方がいいですね。
一度に大量の放射線をあびると、体に悪影響を及ぼすことは確実ですから。

じゃあそもそも放射線って何なのか?

いざ聞かれると曖昧にでも説明できる方は少ないかもしれません。

このことをここで詳しく説明しようと思うと、ブログのテキスト量の限界をはるかに超えてしまうため、
割愛させていただきます。。(説明がめんどくさいわけではありません(笑))

簡単に言うと「大きなエネルギー」です。

はい、結局曖昧ですね。・・次に進みましょう!

ちなみにここから先はもう少し突っ込んだ話をさせていただきます。
やや専門的な用語や話が出てくるので、読んでいて眠くなる方、表題の結論を見たい方はすっとばして、
下の方まで一気にスクロールしちゃってください(笑)

 

放射線が人体に影響を与える仕組みについて簡単に説明します。
上記で述べたように放射線とは大きなエネルギーなのですが、
そのエネルギーが人体を構成する細胞にぶつかると、その中にあるDNAを損傷させてしまいます。
ただ人体はすごいもので、わずかな放射線量による一部のDNAの損傷に対しては、
自己で修復する力が備わっています。
しかし、放射線量があまりにも多いとその修復が間に合わず、細胞や臓器に影響が出てきてしまいます。
放射線被曝と発がんのリスクについて言われるのは、そのあたりですね。

放射線にもいろいろな種類があり、いわゆるX線といわれるγ線はその一種で、
医療ではCTなどの画像診断に使われます。
(ちなみにMRI検査は磁気を利用した画像診断で、放射線は用いられません。)

また、放射線が細胞を破壊する特性を生かしているのが、がん(悪性腫瘍)に用いられる放射線治療ですね。
これにはX線とは違う種類の放射線が使われます。

当院の近くにある大阪大学歯学部附属病院でも、舌癌などの口腔癌に対して最先端の放射線治療が行われています。

ここでちょっと専門的ですが、「確率的影響」と「確定的影響」というものについて説明します。

「確率的影響」とは、わずかな線量でも確率的に影響があらわれるもので、線量が増えると放射線の影響が比例して増えます。
ただし、先程も書いたように人体においてはわずかな線量でDNAが損傷したとしても、それを修復する機能が備わっているため、実際は問題ないと言われています。

「確定的影響」とは、ある放射線量を超えない限り影響があらわれず、逆に一定の線量を超えると影響があらわれるものです。
その一定の線量(しきい線量)は臓器や組織によって様々です。

では、その確定的影響があらわれる線量はどのくらいなのでしょうか?

ヒトに影響が出始める最低の線量を組織ごとに以下に示します。

精巣 150ミリSv
卵巣 650~1500ミリSv
水晶体 500~2000ミリSv
骨髄 500ミリSv
皮ふ 5000ミリSv
胎児 100ミリSv
(このSvというのは放射線の単位の一つです。)

特に胎児は体を成長させるために常に細胞が新しく作られているため、影響を受けやすくなっています。

また実は私たちは日常生活で知らないうちに放射線を浴びています。
もちろんごく少量ですが、これを「自然放射線」と言います。
国連科学委員会の報告によると、日本における自然放射線は、
宇宙から0.3ミリSv、食物から0.99ミリSv、空気中から0.48ミリSv、大地から0.33ミリSv。
合計年間線量は2.1ミリSvとされています。

ちなみに東京~ニューヨーク間の往復では0.11ミリSvです。

健康診断の際の胸部レントゲン写真は0.06ミリSvです。

 

ここで本題!

じゃあ歯科で使われるレントゲン撮影はどのくらいの線量なのかというと、、

デンタル撮影(歯が数本うつる小さな写真)・・・・・・・0.004ミリSv

パノラマ撮影(全ての歯が一度にうつる大きめの写真)・・0.01ミリSv

歯科用CT(立体のレントゲン写真)・・・・・・・・・・・0.1ミリSv

臓器に影響が出るとされる線量と比較すると、かなり低くなっていますね。

特に妊婦さんに対する放射線は気にされるかと思います。
日本放射線技術学会によると、通常に実施された多くのX線診断検査による出生前の被ばく線量では、出生前死亡・奇形・精神発達障害のリスクが増加して、自然発生率を上回ることはないとされています。

このように比べると、歯科のレントゲン写真は比較的安全に撮影できるものと考えられます。
もちろん不必要な撮影はせず、診断やよりよい治療を行うために必要と考えられる際にのみ、
撮影の協力をお願いする形になります。

CTにおいても医科用と比較し、歯科用CTは被曝線量がぐーんと抑えられています。
当院では2021年現在最新の機械を導入しており、被曝線量を抑えたCT撮影が可能となっております。

かなり長い説明になってしまいましたが、つまり歯科での診療の際は、
安心して撮影を受けてくださいね、ということです(笑)

カテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ

pagetop