予防歯科
予防歯科とは、歯が痛むなどの症状が出てから治療するのではなく「痛くなる前に虫歯や歯周病などの歯の疾患を予防する」という考え方です。歯の疾患を予防する「口腔ケア」には、歯科医院で専門家が行う「プロフェッショナルケア」と、自分で毎日行う「セルフケア」があります。
この二つを定期検診で両立させることが、歯を長く健康に保つための秘訣となります。
セルフケアだけで、歯の汚れを完全に取りきり、虫歯や歯周病を予防できる方はほぼいません。丁寧にブラッシングを行っているつもりでも、歯と歯の間や歯ぐきとの境目などに磨き残しはあるものです。定期的に歯医者でクリーニングし、メンテナンスを行うことによって、予防効果を高めることが可能になります。
①問診
前回メンテナンスからの間で、何かお口のことでお困りのことや気になったことなどがないかお伺いいたします。どんな些細なことでも構いませんので、なんでもご相談ください。
②検査
歯周ポケットの深さを計測したり、歯ぐきの出血の有無を調べます。また、虫歯やほかの病気がないか、磨き残しの箇所なども確認します。必要があればレントゲンでの検査も行います。
③歯石の除去、PMTC(プロフェッショナルケア)
歯科衛生士によるスケーリングを行い、虫歯や歯周病の原因になるプラークと歯石を歯の表面から徹底的に除去します。また、専用の器具を使って毎日のブラッシングでは落とし切れない汚れまできれいに除去していきます。
歯の表面の黄ばみやステインといった着色汚れも取り除くことができ、歯の表面がツルツルになったのを実感していただけます。
④歯磨き指導
ご家庭での歯磨きで不十分なところや虫歯や歯周病のリスクの高いところを説明し、歯磨き指導を行います。
⑤生活習慣の見直し
普段の生活習慣を見直すことで、虫歯や歯周病の予防に大きくつながることがあります。
疾病のリスクを抑えて良好な口内環境を整えることができるよう、食事のとり方や歯磨きのタイミング、その他改善すべき生活習慣などをアドバイスしています。
メンテナンスの所用時間は、口腔内の状況にもよりますが、1回あたりおよそ45分前後です。
メンテナンスの頻度については、こちらをご覧ください。
定期検診を行うことで、口腔衛生の専門家である歯科衛生士より、普段どの部分に磨き残しがあるか、どういったところが虫歯や歯周病のリスクが高いかを指導してもらうことができます。
それをご家庭での歯磨きの際に生かすことで、歯科疾患のリスクをぐんと抑えることが可能です。
もちろん虫歯が大きいと削る量も必然的に多くなってしまいます。特に神経を抜いた歯は、そうでない健康な歯と比べると歯の寿命が短くなってしまいます。また、歯周病は大きく進行してしまうと元の健康な状態には戻りません。
予防歯科では初期虫歯や歯周病になりかけている部位などを早期発見し、早期治療することができるため、痛くなってから行う治療に比べ、歯に対する被害を最小限に抑えることができ、結果歯の寿命を延ばすことができるのです。
小さな虫歯や早期の歯周病は自覚症状がないことがほとんどです。逆に言えば、強い痛みが出てしまうときは、すでに大きな虫歯になっていることが多いです。
それを治療するとどうしても処置後に痛みを感じてしまうことがあります。痛みが苦手で歯医者を避けがちな方こそ、定期的に検診を受け、虫歯や歯周病を予防することをおススメします。
最近の研究で、歯の本数が多い人ほど認知症のリスクが少なくなることがわかってきました。これは「かむ」という行為によって、脳の血流が良くなり、神経回路を刺激するため認知症予防に効果があると考えられています。また例え歯が少なくなったとしても、入れ歯やインプラントで正しい咬み合わせができていれば、脳を活性化することは可能です。
歯周病との関連疾患として、糖尿病や脳血管疾患、認知症などがあるので、歯を健康に保つことは全身の健康を保つことにつながります。
定期検診を受けていない方に比べて、治療回数を圧倒的に少なくすることができ、治療費を抑えることにもつながります。